店舗経営の管理職になられた皆さん、「数字のことはさっぱり…」と不安に思っている方もいるかもしれません。
私も管理職初心者の頃は経営に必要な数値のことは何もわからず、「売上」と「利益」のことしかわかりませんでした。
しかし、店舗を経営していくうえで最も重要な数値が「損益」であることを知り、何をどうすれば損益が上がるのかを勉強しました。
経営の基本中の基本である「損益分岐点」は、言葉は聞いたことがあっても、店舗経営でどう活かすのかピンとこないかもしれません。
この記事では、管理職初心者、店舗経営は初めてというあなたのために、損益分岐点を超わかりやすく、そして実践的に解説します。
1. 損益分岐点って、そもそも何?
損益分岐点(Break-Even Point、略してBEPとも言われます)とは、利益がゼロになる売上高のことです。
簡単に言えば、「これだけ売れば赤字にならない」というボーダーラインの売上です。この売上を超えれば利益が出て、下回れば赤字になります。
損益分岐点を把握することは、店舗が安定して利益を出し続けるための地図を持つことに等しいのです。
2. 損益分岐点のカギ:費用を2つに分ける

損益分岐点を理解するには、まず店舗の費用を次の2つのタイプに分ける必要があります。
① 変動費:売上に「変動」して変わる費用
- 定義: 売上が増えれば増え、売上が減れば減る費用。
- 店舗の具体例:
- 仕入れ原価(商品や食材の購入費)
- アルバイトの時給(売上に応じてシフトを増減させる場合)
- 販売手数料(クレジットカード決済手数料など)
② 固定費:「固定」されて変わらない費用
- 定義: 売上に関係なく、必ずかかる費用。
- 店舗の具体例:
- 家賃
- 正社員や固定給の給料
- 減価償却費(設備や内装費など)
- 広告費(固定契約の場合)
減価償却費とは?
減価償却費は、実際にお金が出ていかない(キャッシュアウトしない)費用ですが、固定費として計算に入れる必要があります。
例えば、店舗の内装に500万円使った場合、この費用は一度に全額をその年の経費にするのではなく、耐用年数(例:10年)にわたって分割して経費(減価償却費)として計上します。
会計上の利益を計算し、税金を決める上では非常に重要になるため、損益分岐点の計算では「固定費の一部」として扱われます。
Point: まず自店舗の費用のうち、「変動費」と「固定費」はどれか?を把握することが重要です。
3. 損益分岐点を計算してみよう!
損益分岐点は、次のステップで計算できます。
ステップ1:限界利益率を知る
限界利益とは、売上から変動費を引いた残りの利益です。
限界利益 = 売上高 – 変動費
この限界利益が、固定費をまかなうために使われるお金です。
そして、限界利益率は、売上に占める限界利益の割合です。
限界利益率 = (限界利益 ÷ 売上高) ✕ 100
例えば、売上1,000円、変動費300円なら、限界利益は700円。
限界利益率は
(700 ÷ 1,000) ✕ 100 = 70%
です。
ステップ2:いよいよ損益分岐点の計算
損益分岐点は、この限界利益で固定費をちょうどまかなえる売上高です。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
【計算例】
あなたの店舗の「固定費」が毎月150万円、「限界利益率」が30%だったとします。
損益分岐点売上高 = 150万円 ÷ 0.30 = 500万円
つまり、この店舗は月に500万円の売上があれば、赤字にはならないということです。利益を出すには、500万円以上の売上が必要なのです。
4. 損益分岐点を経営に活かす3つの視点

損益分岐点を計算するだけで終わらせてはもったいない!
この数字をどう活かすかが腕の見せ所です。
視点①:目標売上と現状とのギャップを知る
- あなたの店舗の「目標売上」と「損益分岐点」を比べてみてください。
- 目標売上が損益分岐点ギリギリなら、少しの売上減でもすぐに赤字になる危険な状態です。
- 目標売上と損益分岐点の差額(安全余裕度といいます)が大きいほど、経営は安定しています。
- 行動: 「今月、あといくら売上を上乗せすれば安全圏に入るか」を日々の施策に落とし込めます。
視点②:固定費をコントロールする
- 損益分岐点の式 固定費 ÷ 限界利益率 を見ると、固定費が下がれば、損益分岐点も下がる(赤字になりにくい)ことがわかります。
- 行動: 契約を見直し、無駄な固定費(使っていない機器のリース料、高すぎる家賃など)を削減できないか検討しましょう。
視点③:限界利益率を上げる(利益の出やすい体質へ)
- 限界利益率が上がれば、固定費が同じでも損益分岐点は下がります。
- 限界利益率を上げる方法
- 売価を上げる(単価の高いメニュー・商品を売る)
- 変動費を下げる(仕入れ価格を交渉する、原価率の低い商品に注力する)
- 行動: 「原価率の低い人気商品」に力を入れたり、「セット販売」で客単価を上げたりする戦略を立てましょう。
5. まとめ:管理職としての次の一歩
損益分岐点は、複雑な経営状況をたった一つの数字に集約してくれます。
- Step 1: 自店舗の費用を変動費と固定費に分けましょう。
- Step 2: 損益分岐点を計算し、「赤字ライン」を知りましょう。
- Step 3: 固定費の削減、または限界利益率の向上で、損益分岐点を下げる(経営を安定させる)戦略を立てましょう。
管理職の皆さん、店舗経営は数字に基づいた冷静な判断が不可欠です。損益分岐点を理解し、活用することで、自信を持って安定した店舗経営を実現しましょう!



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